突き上げた拳のその先には 前編


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先日の、サッカーワールドカップのゴールシーン。

得点を決めた選手が突き上げた拳には、

我々が想像さえ出来ない、想いが込められていると思います。

今日は、そんなお話です。

 

私がサッカーを始めたのは、小学5年生になった時です。

当時の私は、家庭環境のせいか、

自分の感情を表現できない、表情のない子供でした。

 

サッカーは真面目に練習をしました。

誰よりも練習したと思います。

レギュラーにもなりました。

得点もたくさんとりました。

ミスもたくさんしました。

試合に勝ちました。

試合に負けました。

でも、あまり喜ぶことも、悔しがることも無かった。

本当に冷めた子供だったと思います。

 

日曜日も、

祝日も、

夏休みも、

冬休みも、

どこにも、連れて行ってもらえない私は

練習に来れば、友達に会える。寂しさを紛らわせることが出来る。

私は、サッカーが好きというより、練習の場が好きだったんだと思う。

 

顧問の先生は、熱血漢。

しかも、クラスの担任。

感情をあまり出さない私に、

グイグイ距離を詰めて来る。

そんな先生が私は苦手で仕方なかった。

 

6年生の夏休み。

学校の体育館で合宿があった。

家以外で寝泊まり。

楽しかったなぁ

1日でも長く続いて欲しかった時間だった。

夜に、お酒が入った勢いで、先生が話をしてくれた。

 

先生は、以前いた学校のサッカーチームで、

指導方針で他の先生と衝突し、サッカーチームを辞めたそうだ。

すごく悔しかったと、涙ぐんでいた。

チーム創設メンバーの私達には結果を残してあげたい。

秋にある最後の大会は絶対に優勝したい。

「一緒に1番になろう」 と。

 

 

先生のいた学校とは、市内では絶対王者。

県下でも上位にいる学校でした。

まだ、勝ったことはありませんでしたが、

いい勝負は出来るようには、なっていました。

でも、勝てるか?と言われれば、自信はない。

 

小学生の私には、先生の気持ちはわかるはずない。

ただ、あの頃から、私自身の心境に変化があったと思う。

先生の話が心から離れなかった。

後で思えば「勝ちたい」という気持ちが芽生えていたのでしょう。

 

秋の大会が始まったのが、10月くらいだったか。

市の大会で終りなので、この大会が引退の大会。

順調に勝ち上がり、決勝の相手は、先生が以前いた学校だった。

 

決勝当日、不思議と緊張はなかった。

試合が始まった。

やはり、相手の方が一枚上手だった。

前半は、1-2だったと思う。

ハーフタイムは、熱苦しい先生が、さらに燃え上がっていた。

「内容は負けてない。勝てるぞ」

「お前らとの、最後の試合や。絶対に1番になるぞ」

試合の指示なんてない。

THE精神論を、延々と話していたように思う。

 

後半が始まり、早々に同点に追いついた。

しかしその後は、お互い決め手を欠き、もう残り時間もわずか。

しかし、あまり、後半の事は覚えていない。

覚えているのは、

 

ゴールネットを揺らしたボール。

右手の拳を高々と突き上げて、ガッツポーズをする私。

 

 

試合には勝った。

初めてのタイトル。

 

どのように、シュートを決めたのか、今でも思い出せない。

突き上げた拳のその先には何があったのだろうか。

 

ゴールを決めたことへの歓喜なのか

先生の悲願達成の喜びなのか

自分達が1番だという誇示なのか

 

その答えを知ったのは、卒業して、先生に再会した時だった。

 

続く

 

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