突き上げた拳のその先には 後編


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小学生の頃、私はサッカーチームに所属しておりました。

自分の感情をうまく表現できない私。

引退試合で決勝点を決めた私は、拳を突き上げ、

感情を爆発させた・・・らしい。

 

 

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高校生2年生の夏。

急に先生に会いたくなり、友人を誘い、

アポなしで、当時先生が赴任していた小学校へ。

偶然、練習試合の合間。昼休憩の時間でした。

 

そこには、昔と同じ光景が広がっていました。

大きなタッパーの中にたくさんのおにぎり。

そのおにぎりを、生徒が輪になって頬張る。

「先生は、まだこれを続けてるんや」

私は、懐かしく、そして嬉しくなった。

 

どうしても、親が子供に時間を割けない家庭があります。

私の家もそうでした。

当時、試合がある日は、みんなお弁当を持参しておりました。

でも、友達のお弁当は、色鮮やかで、賑やかなお弁当でした。

自分の弁当といえば、日の丸弁当に少しだけのおかず・・・

小学生の自分には、辛い時間でした。

お弁当も作ってもらえない奴もいました。

それを見かねた先生が、奥さんにお願いして、みんなの分の

おにぎりを作ってもらったのが始まりでした。

 

今更ながらの感謝の気持ちですが、

「先生、ありがとうな」

先生は、ニッコリ笑って

「あの日の決勝ゴールは覚えてるか」

と話し出しました。

あの日、試合に勝てたことは嬉しかった。

先生の悲願だったから。

それよりも嬉しかったのは、ゴールを決めた私の喜びようだった。

あんなに感情をむき出しにした私を初めて見た。

「あのゴールは、一生忘れるな。嫌なことがあったら、あれを思い出せ」

「先生は忘れへんぞ、あのゴールを見れたのは、監督冥利、いや教師冥利に尽きるな

わたしは、言葉にならず、うなずくだけでした。

何となくですが、先生の真意が理解できたからだと思います。

 

実は、高校のサッカー部でキャプテンに就任した。

何をすればいいか相談したかったのですが、

もう少し悩んで、答えを出そうと思い、相談せずに帰った。

最高のアドバイスを頂戴したから。

 

 

 

 

あの頃、チームメイトからは、冷静沈着な人間だと呼ばれていました。

違う、上手く自分の思いを表に出せないだけの、弱い人間だよ。

いつもいつも心の中で、みんなを羨ましがっているだけの、弱い人間だよ。

 

みんなのように喜びたかった。

みんなのように親に試合に来て欲しかった。

そして自分のいいところを見て欲しかった。

サッカーの話を聞いて欲しかった。

なにより、褒めて欲しかった。

そんな当たり前のような事を欲しがっていた。

嬉しい事も、悲しい事も、心の奥底に押し込めて、蓋をしてしまう。

殻の中に閉じこもった人間。

 

そんな自分が、サッカーを通して変われた。

先生や、チームメイトの後押しで

少しだけ勇気を出し、自分の殻を少しだけ破ることが出来た。

一歩、いや半歩かも知れないが、前進することが出来た。

 

「突き上げた拳のその先には」

 

決勝ゴールは、それまでの自分の終着点。

突き上げた拳は、

「人は変われる、きっかけ一つで変われるんや」という

新しい自分のスタートの合図だったのかも知れない。

 

 

 

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