余韻に溺れてしまった話【文化祭の出来事】後編


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高校最後の文化祭での出来事。

文化祭最後を自分の歌で締めくくってやろうと企む私。

さてさて、どうなるのでしょうか。

 

余韻に溺れてしまった話

 

友人たちの出番

 

「音楽の夕べ」もあと2組。

友人たちの出番です。

割愛します~っ。

「はい、グダグダでした(笑)」

 

A子ちゃんの出番

 

さぁ、A子ちゃんの出番です。

「皆さん、いよいよ最後となりました。3年4組、、、」と

A子ちゃんの紹介を途中で出来なくなりました。

す~っと彼女が私の前を通り過ぎる姿を見て、言葉が出なくなりました。

 

「おいおい、あんた、だれ?」

 

そんな派手ではないですが、綺麗なワンピース・ドレスに身を包み、

いつも束ねていた髪を降ろし、トレードマークの眼鏡がない。

お化粧は少し濃いようなぁ、、、

しかも裸足、、、

でも、そこには見違えるような?姿になったAちゃんが、、、

 

「おぉ~Aちゃん、これは何の罰ゲームや」

 

私は進行しながらも、半分笑いそうで、半分不安でドキドキしてしまいました。

ラジカセのスイッチを入れる指が震えた、、、

当然、笑いを堪えていました(笑)

 

「DESIRE」

前奏が流れ「Get up,Get up,Get up,Get up burning love♪」

 

「えぇっ、、、歌がめちゃくちゃ上手い」

お笑い劇場と違うかったんや、、、 

 

観覧席のみんなが口ずさんでいる。

リズムに合わせて体が揺れ始めている。

 

「飾りじゃないのよ涙は」

 

体育館は最高潮です。

当然、この日1番の盛り上がりです。

会場の視線はAちゃんに集まってます。

ちょっとしたライブ会場です。

 

1曲目の途中から、私はあることを思いつきました。

 

そばに居た、実行委員会の会長に相談しました。

会長もOKということだったので早速実行しました。

 

歌を歌い終わり、Aちゃんが袖に戻って来ました。

会場は大盛り上がり、拍手の嵐でした。

 

会長が、Aちゃんに説明をしてくれました。 

 

「そうです、大笑は逃げましたぁ~(笑)」 

 いや、敢えてAちゃんにステージを譲ってあげたのです( ̄▽ ̄;)👈負け惜しみ

 

私は、盛り上がっている会場に向けて、説明をしようとステージに上がると

 

「大笑引っ込め~からのアンコール大合唱」

 

 

 おぉ、みんなようわかってるやん

 

いや、もっとAちゃんの歌を聞いていたかったのだと思います。

ちょっと嫉妬心メラメラでしたね。

 

「難破船」

「ミ・アモーレ」だったはず、、、忘れた( ̄▽ ̄;)

 

Aちゃんは、見事に歌い切りました。

「難破船」は泣けました、、、

さすがは会長。すごくいい選曲でした。

「音楽の夕べ」は大成功だったんじゃないでしょうか。

 

宴が終わり

 

文化祭も無事終わりました。

 

さっきまでの熱気は、観客のみんなが持って帰ってしまった。

体育館の中は、片付けの音だけが鳴り響いていました。

寂しいもんです。

 

 

お互いの労を労う者、独りを楽しむ者、

実行委員の面々は各々が余韻に浸っていました。

私は独り、ステージの上で胡坐をかき、余韻に溺れていました。

溺れて、なかなか浮き上がることが出来ませんでした。

 

あのAちゃんがステージの上で、オシャレな格好をして、化粧までして

ノリノリに歌を歌っている姿。

未だ、信じがたい光景でした。

 

何より、自分も化粧して、女装して司会してたらウケたかも?

今更後悔しても後の祭りだな。

俺もまだまだだなぁ~と反省です。

 

Aちゃんって

 

彼女は一言で言うと「地味」

滅茶苦茶「地味」

正直、声もあんな声だったんだと思うくらい、教室で声を聞いた記憶がない。

委員長なのに、仕切ることも出来ず、頼りない奴。

でも、そんな自分が嫌で、今回思い切って歌を歌ったそうです。

彼女にとって、凄く財産になったのではないでしょうか。

ステージから戻って来た彼女とハイタッチをしました。

その時の笑顔は、キラキラと輝いていました。

 

ただ、Aちゃんに一言、言いたかった、

 

そこまでイメチェンしたら誰だかわからんぞ( ̄▽ ̄;)

 

 

一生忘れない、愛の告白

 

翌日、Aちゃんの周りには、たくさんの人が集まってました。

凄くいい光景でしたね。

でも、でもね、、お膳立てをしたのは俺だよ、、、独り拗ねてました。

「誰か褒めてくれぇ~っ」

「誰か労ってくれぇ~っ」

「誰かかまってくれ~っ」

これ、心の小さな人間の真骨頂です(笑)

 

でも、そこは付き合いの長い、直美ちゃんがフォローしてくれました。

「大笑君、Aもすごく感謝してたで。ありがとうな」

それ、その一言が欲しかったんよ。

 

調子に乗った私は、

「なぁ直美ちゃん、Aちゃんにお願いがあるんやけど」

 

メモを渡しました。

「何これ(# ゚Д゚)」

 

メモの中身とは、Aちゃんに中森明菜の声を真似て言って欲しい。

「大笑君、前から好きだったの。キスして💗」👈こんな感じだったと・・・

 

「直美ちゃん、駄目もとで、お願い」👈変態全開です

「聞いてみるけど、無理やろ」👈えっ?聞いてくれるの。主もやるのぉ

 

Aちゃんは、快く了承してくれました。ただ、キスはカットで。

しかも、すぐさま、

「大笑くん💗大好き💗」

「ちょっと待て、なぜ今や?二人っきりの方が、、、」

「Aちゃん、もう1回お願い。目を瞑るから」

 

 ギャラリーからは、ブーイングの嵐

「目を瞑るってAちゃんに失礼やろ~」👈確かに

「お前、顔が赤いぞ、、」👈だって明菜やぞ~

「めっちゃ羨ましい。お前その声で、家帰ったら絶対に抜くやろ~」👈図星!

 

本当に明菜に告白された気分でした。本物を知らないけど、、、

本当に恥ずかしかったです( ̄▽ ̄;) でも、一生の宝物です。

今なら絶対、録音だね。動画ではないのがまた失礼だけど、、、Aちゃんごめん。

 

最後になりますが、

下級生や他のクラスの子たちが「明菜」を見学に大勢やって来ました。 

でも、誰一人、誰が「明菜」を見つけることは出来なかったとか、、、

「Aちゃん、やっぱ、君は地味過ぎだよ(笑)」

 

 

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