長女とのサシ飲み


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長女とのサシ飲み


ウチの長女が先日、18歳になったんですよ。

なんでも、今は18歳になれば、成人らしい。

大きくなったものだ。

「成人したんやったら、飲みにいこうぜ」

「お酒は二十歳になってからやで」

クソ真面目な彼女らしい返事。

次女なら絶対に「行く!」となるのに。

 

長女は忘れてしまったのかな?

彼女が5歳くらいの頃に、近所の公園で、サシ飲みしたことを。

 

今でもよく覚えています。

当時、仕事が本当に忙しくて、週末も朝も夜も関係なく多忙を極めていた。

だから全然、遊んでやれなかった。

 

彼女は、毎日、眠い目をこすって、私の帰りを待っているのだが、いつも力尽きて寝て

しまい、朝に目が覚めると、私は出社していない。

時には、「父ちゃんに会いたい」なんて、ぐずる時もあったようです。

嫁さんは次女の世話に追われ、彼女をかまってやれない時期でした。

幼稚園に通い出して、幼稚園で覚えたことを、私に話したかったのでしょう。

そして、私は私で、彼女に辛い思いをさせていることに、申し訳ない気持ちで

いっぱいでした。

 

そんなある日、珍しく早く帰宅することが出来た。

早いと言っても夜の9時頃だったと思う。

眠りかけの彼女を迷わず、たたき起こし、

「公園行くぞ」

あの時の彼女のニヤ~っした顔はよく覚えている。

冷蔵庫から、缶ビールと果物ジュースとポケットに入れ、お菓子を少し彼女に持たせ

夜の公園で、ベンチに座ってサシ飲みした。

彼女は、嫁さんから、夜にお菓子を食べてはいけないと言われていたのでしょう

お菓子に手を付けない。ジュースも飲まない。

この頃からクソ真面目だったんですね。

「今日は、父ちゃんが許す。好きなだけ食って、飲んでええぞ」

ようやく、お菓子を嬉しそうに口に頬張った。

しばらくして、お菓子も無くなり、コンビニへ買い出し。

「好きなん買え。遠慮するな何でも買ったる」

「ほんま、母ちゃんに怒られへん?」

「内緒にしといたる…その代わりビールも内緒やぞ」

またまた、ニヤ~っとする彼女。

 

彼女との会話の内容は、あまりよく覚えていませんが、楽しそうに話をする顔はよく覚

えています。彼女の話と嬉しそうな彼女の顔が、最高の酒の肴になってくれました。

さすがに、眠たくなって来たのでしょう。

公園のベンチで、胡坐をかいて座っている私にもたれかかり、

か細い声で、

「父ちゃん、お月さんが笑ってるね」

今でもよく覚えている彼女の言葉です。

空を見上げると、三日月が私たちを照らしながら笑っていました。

そのまま、彼女は寝入ってしまいました。

1時間ほどの娘とのサシ飲みは静かに終わりを迎えた。

 

私は、一人空を見上げ、缶ビールを月に突き上げ、

「乾杯」なんておどけながら、物思いにふけっていました。

 

家族を養うために働く。

少しでもいい生活をしてもらいたいから働く。

でも、働けば働くほど、家族との時間が無くなる。

嫁さんに、家のこと、子供の事を押し付けてしまっている。

子供には寂しい思いをさせている。

 

家族の幸せってどんな形なんだろう?

本当の幸せってどんな形なんだろう?

自分は、家族を幸せにしてやれているのだろうか?

 

馬鹿が考えても、答えなんて出てくるはずない。

でも、当時、そういう葛藤に苛まれていたことを覚えている。

 

今だに、家族を見ていて思うことがある。

「あの頃の葛藤の答えは出ていない。人は人生に悩み、迷い、その答えを探すために

更に悩み、迷う。

悩み疲れて、迷い疲れた時に、ふと手を差し延べてくれる人がいる。

私は、振り返ったら、いつも家族に支えられていた。

あの頃は、悩んで、迷っている自分しか見ていなかった。支えてくれている

家族が見えていなかったかも知れない。

下ばかり見ていては大事な物を見落としてしまう。空を見上げてみれば、三日月がいつ

も微笑んでくれてると彼女に教わった。」

 

今でも、三日月は優しく微笑んでくれている。

まだまだ、親として、人として道半ば

まだまだやらないと。いや、まだまだやれるはず。

 

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絵心ない、、、( ̄▽ ̄;)

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