【バレんタインデー】小心者と賢者【前編】


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皆さん、こんにちは。

2月14日 今年もやって来ました。

バレンタインデーの日。

我が家も、娘が二人おりますので、バレンタインデー前は、大忙しです。

朝から、嫁さんと娘二人が、手作りのお菓子を作っています。

でも、渡す相手は女の子の友達ばかりで、男の子には渡していないようです。

今どきのバレンタインデーはこんな感じなんでしょうか?

昭和のバレンタインデーとは違うのですね。

私が、学生時代なんて、朝からソワソワしていたのに。

 

今日は、私のバレンタインの思い出をお話させていただきます。

ラブラブな話ではないのですが、お付き合いください。 

バレんタインデー

 

クラスの気になる女の子

当時、私は、サッカーと男友達があれば、それで満足だった。

彼女は欲しかったが、面倒臭いが勝っていた。

女の子に縁が無かったわけではない。

恋愛に奥手な小心者だった。

 

クラスメイトに、友達以上くらい関係ではあったが、

気の許せる、女友達がいた。

彼女は「しーちゃん」と、みんなから呼ばれていた。

それほど目立った存在ではないのだが、気を使わないで何でも話せる相手。

時折見せる、同級生とは思えない気遣いある行動に、惹かれていた。

自分には大切な友達だ。

彼女は私にとって賢者だ。

 

親しい友人にも内緒にしていたが、彼女とは学校外でも行動を共にした。

 

二人で、夜の海で語り合うのが好きだった。

「星が綺麗からもう少し見て帰ろ」

「もう、こんな時間や、電車がない」

「始発まで、話をするか」

意図的なのか?、ルーズだけなのか?

朝日を背に、家路につくことも1度や2度ではなかった。

 

彼女といると、話が尽きない。

無知な自分には、彼女の見識の広さは、学校の授業なんかより100倍魅力的だった。

特に、彼女の星に対しての知識は驚くほどだった。

 

彼女は学校では、どちらかというと無口なタイプ。

でも自分と二人でいると、笑顔でよく話す。

このギャップがたまらなく好きだった。

 

彼女も、彼女の話を、まるで、寝る前に母親から、童話を読み語りをしてもらう子供の

ように夢中で話を聞いている私に、話をすることが楽しかったようだ。

 

平行線は続くよどこまでも

自分には、彼女に内緒にしていたことがある。

親しい友人の一人が、彼女に好意を寄せていることを知っていた。

友人から彼女を横取りしたわけでもない。

友人の邪魔をしているわけでもない。

自分と彼女は、特別な関係でもない。

悪い事なんて何もしていない。

 

でも、不思議と、負い目を感じてしまう自分がいる。

 

彼女はそんな感情を取り繕う自分に、

「最近、変やで。悩み事でもあるの?」

何度も聞いてきた。

「何にもないで」

彼女にウソをつくのは、凄く辛かった。

些細な仕草でも気付けてしまう彼女は、大人に見えた。

ただ、彼女には悪いが、口が裂けても言えない。

友人の恋路を邪魔は出来ない。

 

彼女と友人を天秤にかけ、必死にバランスを取り続ける日々。 

彼女も大事、友人も大事。どちらも、失いたくない。

でも実は、自分が一番。

小心者は自分を守るので精一杯なんだろう。

小心者は自分が傷つくことが怖いだけなんだろう。

 

天秤なんて、ぶっ壊すくらいの勇気が欲しかった。 

 

小心者と男友達と女友達

その年のクリスマス前のある日。

クラスメイトの親が経営する、飲食店を借りて、クラスの仲間が集まった。

当然、彼女も、彼女に好意を寄せる友人も同席した。

 

先にもお話をしたが、自分が負い目を感じる理由はない。

それでも、針のムシロ、、、自分に落ち着く場所はなかった。

 

その場では、友人から彼女への想いを、腹いっぱい聞かされた。

気分が悪くなるくらい、嫌な時間が流れた。

それは、友人に対してではなく、

友人の話に、ヘラヘラと相づちを打ち、本当の気持ちを偽る自分が嫌だった。

 

 

悪い時には悪いことが重なるものだ。

彼女が、彼女の友人と共に、私達のテーブルに移動してきた。

盛り上がりを見せていた話題のスレ主は、自分だったため、席を離れることは許されな

い。

彼女が自分の隣の席に座った。

無意識に、友人に自分の席を譲り、彼女の横に座らせた。

一瞬、彼女が嫌な顔をしたような気がした。

彼女と幾度も目が合う。

明らかに、不愉快そうだ。

平静を装い、笑顔で、彼女に話題をふる。

次は、友人に話題をふる。

 

終始楽しそうにしている、友人の顔を見るのは辛い。 

彼女の方は、少し表情が曇っているような気もする。

その二人を目の前にし、空振りの笑顔を振り撒く自分が嫌になった。

この場から、居なくなりたい。

このクリスマス会は辛いだけの時間だった。

 

そのまま、冬休みに入り、彼女と会えない 時間がゆっくりと過ぎた。

 

新学期が始まり、ひと月ほど過ぎたある日、 

彼女の1本の電話で、このお話は、急展開を迎える。

 

つづく