あの頃の僕は【6】 歳月人を待たず


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こんにちは、大笑です。

いよいよ最終話です。

今回、A先輩の事、前の会社の事を色々書かせていただきました。先日、A先輩に会わなければ、ブログに書かなければ、ここまで思い出すことは無かったと思います。正直、A先輩の事も、前の会社の事も記憶からは遠ざかっておりました。そのため事前にノート20ページくらいを使って時系列、出来事を整理しました。普段でしたら、苦痛の作業ですが、今回はすごく楽しかったです。

今回はつい最近のお話です。では最終話をお楽しみください。

 

初回に書いた通り、お客さんから食事会に誘われ、神戸のとある会社さんに伺いまし

た。コロナの関係で、外食でなく、会議室で懇親会を開かれると聞いていたので、いつ

もは部下も連れていくのですが、今回は一人で参加させていただきました。

 

仲良くさせていただいている、部長さんに挨拶を済ませ、適当に挨拶まわりをしていた

ら、ある女性から声を掛けられました。

よくあることですが、どこかでお会いしたような感じなんですが、思い出せない、、、

みなさん、マスクをしているので、顔が良く解らないのです。

名刺を見直しても、聞いたことのない名前、、、

得意技の適当に合わせて話をしていたら、

「忘れたん?私やん」 

ヤバい、、、思い出せない、、、

「久しぶり、元気そうやな。おっさんになったなぁ」

そこには、A先輩が居たのです。何度も顔と名刺を見返してしまいました。

先輩は、今、ある会社の営業の手伝いをしていて、今回はたまたま営業マンの都合が

つかず、先輩も一人で出席されたそうです。

実は、昨年もこの会社の懇親会で見かけたらしいのですが、私は部下と一緒でしたし、

私だという確信もなかったので、声は掛けられなかったそうです。

 

いやぁ~驚きました!先輩とは不思議な縁があるのかもしれませんね。いやあるのでしょう。そう信じたい。

 

大笑「先輩ですか?ほんまにA先輩ですか?何してるんですか?」やっとわかった

A先輩「声が大きいよ、苗字は変わったけどAやで」

なんだろう、映画や小説のように洒落たセリフを言えたらいいのですが、緊張している

か、言葉が出ない。頭が回らない。

やっと出た言葉が、、、

大笑「今から二人で出ましょ」

A先輩「アホか、それはまずいやろ」

大笑「それやったら先輩、この後の予定は?」

A先輩「別にないけど」

大笑「今、家の方向はどっちですか」

A先輩「前と一緒やで」

大笑「ほんなら、〇〇駅で店を探しましょう」

A先輩「わかった、懇親会が終わったら、玄関で待っとくわ」

この間、数十秒でしたが、ほぼナンパでしたね(笑)

 

お客さんには申し訳ないですが、懇親会なんてどうでもよくなり、先輩ばかり目で追い

かけていました。そして先輩の事、昔の事ばかりを考えていました。

 

懇親会が終わり、事務所の玄関で待っている先輩は、よく見ると昔の面影がありまし

た。マスク姿なので正直良く解りませんでしたが、、、( ̄▽ ̄;)

でも、人は仕草って変わらないものなんですね。カバンの持ち方や、髪を触る仕草も

何も変わっていません。

この頃には、興奮も冷め、「あの日の事を謝ろう」と心に決めていました。

 

 

A先輩「お酒はもういいから、会社に行かへん?」

大笑「いいですね。結構遠いから、タクシーを拾います?それとも歩きます?」

A先輩「歩きに決まってるやん」

歩きを選択するところ、その笑顔も昔のままでした。いや、今の方が柔らかい笑顔でし

た。いやマスクで良く解りませんでしたが、やさしい笑顔のはずです。

 

お互い、家族の話や仕事の話をし、秋の心地いい風にあたりながら、昔勤めていた

会社に向かいました。

 

 

わたしは勝手な人間です。つくづくそう思います。

だって、ついさっきまでA先輩の事なんて記憶の奥底で眠っていたのですから。

それが、今私は、さも、ずーっとずーっと待ち望んでいたかのように先輩と話をして、

同じ時間を過ごしています。

 

すでに会社は廃業しており、今は空き地というか誰かの駐車場になっていました。

到着してすぐに、先輩がこちらを振り向き

 

「あの時はごめんな。あんたの気持ちも考えずに。」

「手紙を何回も書いた、でも出せんかった。自分でもどうしていいか分からへんかった。どうしたら許してもらえるか分からへんかった。」

してやられました、、、先に謝るつもりだったのに。

こういう時に、私はウジウジしてしまう駄目な奴なんですよね。( ̄▽ ̄;)      

「こっちこそ、すみませんでした。部長から話は聞きました」

「でも、この話はやめましょ、昔の話ですし。」

正直、あの時のことはどうでもよくなっていました。それよりもっと先輩と話をしてか

った。

不思議と無くなった建物や、離ればなれになった仲間が目に浮かびました。

私も先輩の若かりし頃の二人のようでした。

 

前回の記事で、時間は残酷だとお話ししました。

でも、時間を経てこそ、お互い言えること、分かり合えることってあるんですね。

あの辛い出来事があったからこそ、今こうして再会出来たことが特別に思える。

お互いの容姿も、お互いの取り巻く環境も変わってしまったけれど、

それはそれで、ある意味新鮮でした。

 

ただ、色恋の話はなかった、これは残念(笑)本当に残念(涙)

 

そろそろ、電車の時間が気になる頃、

大笑「先輩、お願いがあるんですけど」

A先輩「何?」

大笑「うーん、、、やっぱりいいですわ」

A先輩「昔からそういうところは変わってへんな」

先輩はにっこり微笑んでくれました。

A先輩「そろそろ帰ろか」

 

 

大笑「先輩、少しだけ腕を組んで歩きませんか?」

言えたぁ~しかし断られたら気まずいなぁ~

 

A先輩「いいよ、酔うたらずっと腕組みたいって言ってたもんな」

A先輩「今日は特別やで。おばちゃんでゴメンやけど」

大笑「先輩と腕組んで歩くのが昔から夢やったんです」

A先輩「えっ、腕組んで歩いたのはこれが初めてと違うで」 

 

 

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大笑「えっ?ほんまですか?」初耳です、、、( ̄▽ ̄;)

 

先輩によると、「先輩、今日は腕組んでかえりましょ」と私が言いだしたら、「こいつ

酔いがまわりだしたな」のサインだったそうです。

帰り道に腕を組むとかではなく、先輩の肩を借りて歩いていると言ったほうが正解だっ

たそうです。

先輩、それはただの介抱です、、、私が言っているのは、恋人同士がやるやつ、、、

 

確かにあの頃は、「酒に飲まれろ、それが男や」が口癖でした。 

 

そんなところでも先輩にはお世話になっていたのですね、、、すみません。

A先輩「抱きつかれたこともあるし、チューされそうになったこともある」

大笑「チューですか?他には?胸とか触ったりしたとか?」何故か興奮してます

A先輩「それがな、一度もないねん(怒)昔から胸が無いからな(怒)」

大笑「そんなことないですよ、、、」

A先輩「今、胸見たやろ(怒)見るな(怒)」

大笑「はい見ました。けど、ほんま色々とすみませんでした」

A先輩「謝らんといて、その逆やで」

先輩は最後にこう言いました。

『今日こうして出会えたのは、あんたとは縁がある証拠やな。他の人とは誰とも会って

ないもん。今やから言うけど、昔会社を辞める理由を親の手伝いって言ってたけど、あ

れはウソ、、、ゴメン。人間関係がしんどかってん。あんたも知ってたと思うけど、浮

いてたやろ私。私はこんな性格やから仕方ないけどな。男の人冗談言える、女の子と

して扱ってもらえる周りの子が羨ましかった。私だって男の人に好になってもらって

冗談言ったり、恋愛したかった。だから君の気持ちは嬉しかった、、、はず、、

はず、、、そこは落とす所とちゃいまんがなぁ、、、いい感じややったのになぁ

大笑「その、語尾のはず、、も変わってませんね。素直にならなあかんわ、僕の事が好きやったんでしょ?」なぜかちょっとドキドキしました

A先輩「そういうとこがアホやねん、あんたは」殴られました。でも満点の返し。さすがです。

 

あとで気付きましたが、

えっ?じゃあ先輩は私の気持ちに気付いていたのか?

 

やはり、アホはどこまで行ってもアホですね。何も解っていなかったのは私だけでし

た。なんか情けないです。でも、いろいろと知ることが出来て良かった。

駅までの道は、何故か会話が無かったように思います。

それは沈黙というより、一歩一歩、何かを噛みしめるように、何かを確かめるように歩

いていたような感覚でした。

駅のホームでの別れ際は、凄く嬉しくて興奮する自分と、もしかして、また会えなくな

るかもと不安に思う自分と、もっと一緒に居たい自分が同居していました。

なんか怖くて「また、会えますよね」が言えなかった。乙女かよっ!

 

 

だから電車を降りてすぐにメールをしました。

今日はありがとうございました。

本当に驚きました。本当に嬉しかったです。

よくぞ、声を掛けてくださいました。

 

先輩、駅までの道で沈黙してしまいスミマセンです。

声を出すと泣きだしそうだったので、、、、いや泣いてました、、、嘘です。

 

柄にもなく、先輩に怒られ、褒められ、慰めてもらいながらあの道を歩いたことを

思い出していました。何より、あの最後の日の、何度も何度も振り返り、後悔をし

ながら歩いたことを思い出しました。

 

今日、あの道に新しい景色が加わりました。

少しの間だったけど、大好きだった先輩の温もりを感じることが出来ましたから。

あの頃の自分に自慢してやりたいくらいです(笑)

 

それと、会社を辞める理由の事、聞けて良かったです

僕にウソをついた罰に、今度ゆっくりとメシでも行きましょう。

あっこのメールは読んだら必ず消去してくださいね。 

大笑

 先輩にメールをしたものです。こっそりまた会いたいと伝えました。

 そして、帰宅してしばらくしてから、返信が。

「60点」だそうです。減点が2か所

まずは「君を褒めた記憶はない」そうです。

それと「大好きだった」は過去形になっている。今は好きじゃないのか(怒)

 

そして、このように書かれてました。(特定できる内容は少し変えてます)

「人と人との縁は目には見えないと言いますが、今日私にははっきり見えました。付き

合いの長さだけで繋がるものではありませんね。相手を思う気持ちを積み重ねてようや

繋がってものかもしれませんね。

君は自分では気付いてなかっただろうけど、君の「鹿さ」は私を何度も勇気づけてく

した。何度も救ってくれました。それは会社を辞めてからも同じでした。本当にあ

がとね。

気が向いたら誘ってください。但し、家族には配慮すべし。これ重要やで。」

 

 

 

う~ん、、、やはり私と先輩は、どこまでいっても「先輩・後輩」なのかも知れませ

ん。 嫌ではないけど、どこか子ども扱いされてる。残念ながら、私達は恋愛ストーリー

の主人公ではないようですね。

続編は書けそうにないですわ~残念です。

 

でも、それはそれで良かったのでしょうね。複雑ですが、、、笑

なんか、晴れやかな気分となりました。

昔みたいには会えないですが、先輩が元気そうで良かったです。

前職の同窓会も誘うつもりです。サプライズで「嫁さん連れて来ました」なんて言えば

面白いかも、、、何より部長に会わせたい。部長も喜ぶだろうな。部長もいい歳だか

ら、先はそんなに長くないし、、たぶん。

先輩はサプライズは断るだろうけど、、絶対にね。

 

人とのご縁に感謝です。最後までお付き合いいただいた読者様に感謝です。

これにて、大笑の超感動巨編&涙なしには語れないラブストーリー「あの頃の僕は」

はここに完結しました。

この話をブログに書けて良かったです。思い返しながら書いていたのですが、凄く当時

の感情の起伏を懐かしく思え、当時の自分のふがいなさに苦虫を噛みました。

ブログは凄いですね。この出来事を文字に出来たことが一番良かったことなのかもしれ

ないですね。

 

 

最後にこれが「THE先輩」という有難いお言葉です。

追伸:今日、私が声を掛けなかったら、君はスルーしてたやろ?女に声を掛けさせるな

んて最低やで!反省せよ!次回説教やからね(笑)

とりあえず、説教だそうです。でも「次回」を入れているところが、可愛いでしょ。

 

A先輩は初めて出会った時と変わらない「嫌な奴」です。(笑)  

 

(おわり)

 

 

 

本当に最後まで読んでいただき、ありがとうございました。